赤ちゃんが立って、歩いて抱っこした方が泣き止む理由について【輸送反応とは】
初めての育児をされるにあたって、なかなか泣き止まない赤ちゃんに困っているという方、実は多いのではないでしょうか?
本当に泣き止まない時って、ただ抱っこして座っているだけじゃ許してもらえないですもんね(笑)。
だから、立ち上がって、抱っこして、歩いたほうが泣き止んでくれるということを経験的に学んでいる方も多いはず。
いったい何故なんでしょう?
実は、哺乳類に共通する「輸送反応」という本能が関係しているからなのだとか。
やはり、そこはわれわれ人間も、本能に従って生きるという意味では同じ動物であるということなんですね。
輸送反応とは
どうして、お母さんが立ち抱っこして揺らしたり、歩いたりした方が、赤ちゃんは泣き止みやすいのか?
これを2013年4月になんと、あの「理化学研究所」が、その仕組みを解明して論文として発表していたのですね。
共同研究グループは、まず生後6カ月以内のヒトの赤ちゃんとその母親12組の協力を得て、母親に赤ちゃんを腕に抱いた状態で約30秒ごとに「座る・立って歩く」という動作を繰り返してもらいました。その結果、母親が歩いている時は、座っている時に比べて赤ちゃんの泣く量が約10分の1に、自発的な動きが約5分の1に、心拍数が歩き始めて約3秒程度で顕著に低下することを見いだし、赤ちゃんがリラックスすることを科学的に証明しました。次に、母マウスが仔マウスを運ぶ動作を真似て、離乳前の仔マウスの首の後ろの皮膚をつまみあげると、ヒトの場合と同様に泣き止み、リラックスして自発的な動きと心拍数が低下し、体を丸めました。さらに、体を丸めて運ばれやすい姿勢をとるには運動や姿勢の制御を司る小脳皮質 が必要なこと、おとなしくなる反応には首の後ろの皮膚の触覚と、体が持ち上げられ運ばれているという感覚の両方が重要であることが分かりました。また、この仔マウスの「輸送反応」を阻害したところ、母親が仔マウスを運ぶのにかかる時間が増加することも分かりました。
今回の成果から、哺乳類の赤ちゃんはおとなしくなる「輸送反応」によって自分を運んでくれる親の子育てに協力しているといえます。
出典:
未熟な状態で生まれてくる哺乳類の赤ちゃんたちは、外敵に襲われやすく、常にお母さんに抱っこされて安全な場所を探さなければならなかったのですね。
そこで、抱っこされる赤ちゃんの側も、協力的になるよう本能が備わっているため、歩き抱っこをすると、おとなしくなってしまうのだと。
言い方を換えると、つまり、
お母さんに歩きながら抱っこされて状況がいちばん安全だから、リラックスできるということなのでしょう。
この本能を「輸送反応」という言うそうなのです。
うまく寝かし付けるコツもある
そうは言っても、ただ歩けば簡単に寝てくれるほど育児は甘くはありません。
ちょっとしたコツを押さえると、より効果的に輸送反応を利用出来るようです。
それが以下のの2つ。
- なるべく赤ちゃんと広い面積が体に密着するように抱っこする
- 歩くスピードの好みを見極める
やはり育児は体力勝負
そうはいっても、お母さんの体力がもはや限界を迎えているケースだってあります。
もはや、歩く気力もなく疲れ果ててしまっているなんて方も…。
そんな時は、便利なアイテムをいろいろ試してみることをお勧めします。
うちの託児所で評判が良いのがバウンサー。
https://babybjorn.jp/baby-bouncers
バウンサーでゆらゆらと揺れているだけで機嫌が良くなり、ひとりでに寝てしまう子も多いんですよね。
あとアグレッシブな方は、バランスボールに座ってアクティブに赤ちゃんをあやします。
体幹の筋肉を鍛えることも出来て、これは一石二鳥ですね。
最後に
育児もある程度慣れた方なら、「歩いて抱っこしたほうが泣き止む」ということを経験的に学ぶもの。
ただ、それが「何故なのか?」という点については、意外に知られていないことが多いようなんですね。
ましてや、それが動物としての本能に由来するものだったとは…。
余談ですが、うちのスタッフもなかなか苦労したようです。
よかったら、お読みになってみて下さい。
これから育児が始まるという方々へ、少しばかりでも参考になれれば幸いです。
余談ですが、哺乳類であることと難産であることから「男女の愛」が生まれた話も好評を頂いておりますので、良かったらどうぞ。
2018.8.12