ナチスドイツ軍の造った巨大兵器の数々【マッドサイエンチストたちの夢想】
ますます大好評のミリタリーシリーズ。
今回のお題は、なんと「巨大兵器」について。
第二次世界大戦当時、ドイツ人科学者たちは他国に例を見ないような巨大兵器の開発に明け暮れました。
もちろん、それを実現可能にさせたのは、世界の最先端をいく当時のドイツの科学技術力。
しかし、実際には実用性に乏しく、あまり戦局に貢献出来なかったものが多かったのも事実。
果たして、そこに運用コンセプトがきちんとあったのであろうか?
マウス(超重戦車)
もともと重戦車信仰の強かったヒトラーの肝いりで始まった「超重戦車マウス」の製造計画。
最終的に完成した、そのサイズは、重量なんと187トン!!
他国の主力戦車の重量が30トンから重くても50トンほどであることを考えると、いかに尋常じゃないサイズかが分かろうもの。
参考までに、重戦車としてあまりに有名なティーガーⅠ型(下の写真)でも、その重量は57トン。
また、マウスに搭載される55口径12.8センチ砲の威力はすさまじく、世界中あらかたの戦車をなんと3500mの遠距離から正面を撃ち抜くことが可能だったのだとか。
ちなみに超重戦車にあって「マウス」という皮肉を込められた、その名前。
「新兵器の存在を秘匿するためだった」と言う説が有力です。
あ、実際に完成にこぎつけたのは、たったの2両ですけどね。
80センチ列車砲ドーラ/グスタフ
第二次世界大戦勃発後、当時フランスが誇った難攻不落のマジノ要塞を攻撃するために開発された巨大列車砲。
しかし、実際にはフランス戦に完成が間に合わず、その後のセバストポリ要塞攻略戦で活躍。
しかし、問題は、その運用コスト。
現地まで列車を運ぶのに専用の規格のレールを敷き直さなければならないだけでなく、オペレーターとして1400人を必要とした。
さらには、後方支援要員として4000人の専従スタッフも必要とした。
なお余談であるが、1944年のワルシャワ蜂起鎮圧に使用されたのは、ドーラ/グスタフではなくカール自走臼砲(60/54センチ列車砲)である。
はっきり言って、運用にあたって人的コストがかかりすぎなんですね。
よく云われるのが、
「これだったら爆撃機を使ったほうが、よっぽど賢くね?」
Flak Towers(フラック・タワー) 巨大高射砲塔
http://karapaia.com/archives/51480063.html
(注)下を自転車で走る人間のサイズに注目
連合国軍の爆撃からドイツを守るために、ヒトラーが巨額の費用をかけて造らせたのがフラック・タワー(高射砲塔)。
鉄筋コンクリート製の巨大防空施設で、高射砲や対空砲が多数並ぶだけでなく、その内部は一般民間人の避難所にもなっていた。
また、別に配置されたレーダー観測塔とリンクすることで、かなりの精度で連合軍機を撃墜することが可能だったという。
特筆すべきは、その強度で、どれだけ直撃弾を浴びても結局、破壊されることがなかったという。
(もちろん高射砲とそれを扱う人間は、全滅となります)
実は、ヒトラーはこの高射砲塔をある意味「象徴的存在」としても捉えていた。
「ドイツ千年帝国」を夢想するヒトラーは、これら高射砲塔を千年もの長きにわたって帝国を守りつづけてくれる、いわば精神的象徴としても位置付けていたのである。
ただ、戦後あまりに頑丈な高射砲塔は、解体するにあたって困難を極め、そのまま放置され現存しているものも多い。
思わぬかたちでの負の遺産といったところか。
Me323ギガント(巨大輸送機)
ギガントとは、ドイツ語で巨人をあらわす。
6基のエンジンで巨大な体躯を駆って、何でも運んでしまう輸送機。
観音開きの正面扉から、完全武装の兵士100人、トラックや野砲はもちろん、軽戦車くらいなら、そのまま運べてしまったという。
https://ja.wikipedia.org/wiki/Me_323_(%E8%88%AA%E7%A9%BA%E6%A9%9F)
余談だが、そのフォルムから何かを連想しないだろうか?
そう。
おそらく機動戦士ガンダムに登場する「ガウ攻撃空母」のモチーフはMe323ギガントで間違いないだろうと思われる。
ガウ級攻撃空母 | ガンダペディア | FANDOM powered by Wikia
ところで、このMe323ギガント。
あまりに鈍重なため、連合軍戦闘機の良いカモにしかならなかったのだそう。
あらゆる空域で制空権を獲得できなかった大戦末期にあっては、使いようの無い兵器であったことは疑う余地はないのである。
最後に
本当は、まだもっと、もっと紹介したいものがたくさんあったのですがね。
皆さん、薄々お気付きかと思われるますが、このジャンルについて執筆していると、拙者、何かおかしなスイッチが入ってしまうんでござる。
ついつい何か平時とは違う文面になってしまうで候。
パンパン!
おっと、いけない世界に片足突っ込んじまってたぜ!
ミリオタ執筆モードに入ると、人格と文面が「昔の人」になってしまうのが自分でも分かるんですよね。
みなさんも気をつけて!!
2018.6.20