新米の季節に思うこと【ササニシキというお米をご存知ですか?】
ちょうど新米が出回る季節になりました。
もう、皆さんは美味しい新米を頂きましたか?
僕は知らないうちに頂いていたみたいです(笑)。
(気付かなかったのは、きっと今年の出来栄えがさほど良くなかったからかと…)
ところで。
お米といえば、かつて「コシヒカリ」と人気を二分していた品種が存在していたことをご存知でしょうか?
その名は、「ササニシキ」。
この名前に見覚えがある方は、昭和生まれで、まず間違いありませんね(笑)。
かつてコシヒカリと並ぶ人気ブランドだったササニシキ
甘く粘り気が強いのが特徴であるコシヒカリ。
それに対して、さっぱりしていて、粘り気がさほど強くないのがササニシキの特徴。
どちらかというと、コメ自体の味の主張がさほど強くなく、料理のもつ繊細な味を引き立てるのに長けた米であるササニシキ。
そんな味の特徴から、実は寿司のシャリとしては最適なお米であるそうなんですね。
かつて宮城県あたりでは、ササニシキが盛んに栽培されていたんだとか。
もちろん、コシヒカリは「魚沼産ブランド」に代表されるように新潟県が中心でした。
食卓から消えたササニシキ
でも、ササニシキって店頭で、ほとんど見かけることがなくなりましたよね。
今の若い方は、その名前すらご存知ないという方も多いのではないでしょうか?
本当に「いつの間にやら」消えてしまってしまった…。
実は、1993年の記録的な冷夏の年に、ササニシキがことごとく大凶作となってしまったのだそう。
ことのほか寒さにとても弱い品種であることが露呈してしまったのです。
ササニシキって、とてもデリケートな品種だったんですね。
「1993年に冷夏でササニシキが全滅するなどの大凶作となって以降、全国各地で気候や風土に合ったオリジナル米を作る動きが生じました。この流れで米の地産地消が広がり、店頭に“新興勢力”が並ぶようになった。
一方で、寒さに弱く、栽培が難しい品種だったササニシキなど、かつての老舗ブランド米は売り場から消えつつあります」
一部引用:
そういったこともあって、その年を境に冷害に強い他の品種へと切り替える米作農家が急増したんだとか。
現在では、品種改良の結果、寒さに強く耐久性の高い、さまざまな品種のお米を市場で多く目にするようになりました。
ササニシキは完全に消えてしまったのか?
それでは、ササニシキは本当に市場から完全に消えてしまったのでしょうか?
いや、そんなことはありません。
実は、高級すし店では、今でも変わらずにササニシキが重宝されているのだそうです。
やはり、寿司のシャリとしては抜群の相性なんだそう。
米にあまり粘り気がありすぎない方が、寿司シャリには向いているんですって。
だから、回転ずし店などでは、シャリにコシヒカリを使う場合はあえて古米を使用するそうなんですよ。
最後に
寒さに弱く、耐久性が低いことから、コメ農家に栽培を敬遠されるようになってしまったササニシキ。
代わって品種改良によって、寒さや自然災害にも強く、食味も増した新しい品種のコメが市場に台頭するようになりました。
まさか北海道という冷涼な大地で、美味しいお米がとれる時代が来るなんて想像も出来ませんでしたね。
魚沼産コシヒカリに匹敵する食味をもったブランド米も多く誕生しています。
まさにコメの「群雄割拠」時代であるかと。
しかし、そんな中、本来は農家泣かせの品種であるササニシキも、その独特の食味から一部食通たちの需要をしっかりと掴んで離さずにいる訳なのです。
現在では、一部高級すし店が農家と栽培契約を結ぶことにより、ササニシキは、ひっそりとではありながらも確実にその存在を次世代へと繋いでいるのですよ。
2018.10.20