四半期決算に移行したことで、会計士さんたちが壊れてしまった話
今から、ちょうど10年前くらい前の話。
まさにリーマンショックが世界を震撼させる直前の頃。
当時、勤務していた中野の治療院では、どういう訳だか30歳前後の若いサラリーマンの新規患者さんが急増していました。
皆、一様に疲れ切っている様子。
しかも酷い肩こり、頭痛、めまい、不眠などなど、訴える症状も決して軽くはない模様。
聞いてみたら、皆さん、どうやらうちの治療院の近所にある、同じ会計事務所の社員さんたちではないですか。
そう、たまたま会社がご近所さんだったんですね。
しかし、なぜ突然一斉に…。
そこで、自分が担当させていただいた患者さんたち皆さんに事情をお聞きしてみたんです。
そうしたら、その頃、急に業務が大幅に増えたようで、いくら残業したところでとても追いつくような状況ではないのだとか…。
家に帰れないなんてこともしばしば。
ひたすら命を削る毎日なんだそう。
そして、忙しくなった理由というのが、決算のルールが大幅に変わってしまったこと。
それまで、日本の企業一般は、上半期と下半期で決算を出すのが慣例だったのです。
しかし、グローバル化の波は、当時の日本にも容赦なく押し寄せていて、世界標準である四半期決算に否応なく対応を迫られたのだそう。
四半期決算とは、企業が3か月単位で決算を行い、投資家などに開示することを指します。
2003年から2004年にかけて各証券取引所が上場企業に対し、四半期ごとの情報開示を義務づけ(ただし証券取引所の自主的なルール)、2008年4月以降は金融商品取引法の定めにより、株式を公開している上場会社などに対して四半期報告書の開示が義務付けられました 。
四半期決算|経理用語解説より一部引用
2008年の4月以降に株式上場企業に課されたルールです。
要は、海外の投資家が日本の企業に、より投資しやすくするための改善処置だったのでしょうか。
会計の世界はよく知らないのですが、四半期ということは単純に仕事量が倍になるということなのでしょうか?
そうなったら、確かに大変なことです。
あと、その頃ちょうどNHKドラマ『監査法人』を観たばかりというこもあって、四半期とグローバル化の話は、すぐにピンと来たんですね。
まあ、それにしても皆さん疲れ切ってらっしゃいましたね。
そのまま会計事務所を辞めていかれた方もいらっしゃいました。
「仕事辞めて、ちょっとトルコに行って気球に乗ってくる!」
会計事務所で事務員として働かれていた女性患者さんの言葉が今も忘れられません。
ひとりの男性患者さんとは、わりと長いお付き合いとなったのですが、結局はほとんどの人が体を壊して辞めていってしまったそうなんです。
で、残った人間はというと、経験とスキルを身につけて、将来的に独立開業していくんだそう。
会計事務所というのは、そもそも、あまり長く居続ける場所ではないんだそう。
独立してナンボなんですって。
さきほど話の中にでてきた、長い付き合いになった男性患者さん。
彼は、辛抱強く先ほどの会計事務所で頑張り、めでたく独立開業の運びとなりました。
しかし、ストレスの影響か、持病の「メニエール症候群」が悪化してしまい、耳鳴り、めまいと戦われていたことを思い出します。
元気でやっていらっしゃるのか、たまに思い出します。
2018.4.26