トレンチコートが普遍的な美しさを持ち続けることが出来るわけとは?【究極の機能美とミリタリーとの関係】
http://forzastyle.com/articles/-/43031
今回は、珍しくファッションの話です。
「トレンチコート」について語らせて下さい。
はるか昔から、その洗練され尽くしたデザインで愛されてきた、大人のワードローブ。
時代の流行に左右されることなく、そのトラディショナルなデザインはお洒落上級者の心を鷲掴みにしてきました。
では、なぜ陳腐化することなく、いつの時代も変わらずに愛され続けるのでしょうか?
そもそも「トレンチ」の意味とは
「トレンチコートといえば、バーバリー」
実は、トレンチコートって、あのバーバリー社が軍服として開発したものだったのです。
だから、防寒性や防水性、耐久性にとても優れているのが、その特徴。
バーバリーのトレンチコートといえば、世界中の男性から愛用されているアイテムの代表です。トレンチコートの起源は第一次世界大戦中、イギリス軍が寒冷地での戦に耐えられるように、と防水型のコートを開発したものが発祥です。トレンチは塹壕という意味であり、所謂“軍モノ”。これが、男性から支持を集める大きな理由のひとつなのです。
素材は、伝統的なコットンギャバジン。1879年にバーバリーの創業者、トーマス・バーバリーによって考案されたもので、1平方センチメートル当たり100本以上という高密度の糸で織り上げたごく丈夫な生地。撥水性、耐久性に優れ、現在のトレンチコートにもこのコットンギャバジンは継承されて使われています。このことからトレンチコートと言えばバーバリー、と言われるようになったのです。
出典:http://forzastyle.com/articles/-/43031
トレンチコートとは、第一次世界大戦で主流だった塹壕戦を戦い抜くための軍服だった訳なのです。
つまり、「トレンチ」とは、「塹壕」という意味だったんですね。
軍服としての名残を残すディテール
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トレンチコートのもつ、その独特なデザインには、実は意味があったのです。
この他、トレンチコートにはエポーレット、ガンフラップ、D環、ストームシールドなど戦場においての 機能を追求したディテールが多く施されています。エポーレット(肩章)は階級を示すバッジを付けたり、水筒や双眼鏡のストラップが肩からずり落ちないように施されたものです。胸元のガンフラップはライフルを発射したときの衝撃を吸収する役割を担ったディテールで、ボタンを上まで留めた合わせた箇所を覆い、風よけとしての機能があります。肩から背中にかけて二重になった構造のストームシールドは、雨が降ったときに雨がコートに滲みないよう水滴が下へ落ちるよう工夫されたものです。ベルト部分のD環は、軍用品をを下げるためのもの。これらの“軍もの”ならではの男らしい機能美に満ちたディテールが集結したオーセンティックなデザインゆえ、バーバリーのトレンチコートが男心をつかむアイテムとして存在し続けているのです。
かつて軍服として使用された名残りが、デザインにおけるアクセントとして各所に残されている訳なんですね。
これぞ機能美。
つまり、機能性を追及していくと、必然的に美しいデザインとしてまとまるものなのです。
実はミリタリー発祥のアイテムたち
(※ナチスドイツはファッションをも上手く利用した事実は有名な話)
「機能を追求していくと、モノの形は美しくなる」
この言葉は、新幹線やスポーツカー、小型ジェット機などといった工業デザインだけでなく、ファッションにも通じる言葉だったのです。
ところで、ひたすらに機能性を高める必要があった衣装って何でしょう?
そうです。
軍服、またはそれに準ずる作業着ということになりましょう。
だから意外と、ミリタリー発祥のワードローブって多いんですね。
MA-1やB-3といったフライトジャケットはもちろんのこと、パラシュートパンツやセーラー服、ピーコート、さらにはチノパンといったところまでも。
※チノパンの「チノ」って、チャイナという意味だったんですよ。
最後に
機能性を兼ね備えたデザインには、いつの時代にも廃れることのない「普遍的な美しさ」を纏うものなのです。
ある意味、究極の機能美を成立させてしまったのが、トレンチコートだったのかも知れません。
そんなミリタリーファッションのなかでも、群を抜く完成度を誇ったトレンチコート。
これを最初にオシャレ着として転用を考えた当時のバーバリー社の慧眼ぶりには恐れ入ります。
陳腐化しないというより、するはずがない訳なんです。
どうですか?
意外に身の回りのモノって、ミリタリーばっかりでしょう(笑)。
2018.8.19