ogikubojinの日記

産前産後のケアでいらっしゃっている患者さんたちとのとりとめもない話

西武鉄道が外資ファンドに買収されかけた話【西武ライオンズ身売りの危機】 

 

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ふだん僕は、通勤で西武鉄道を利用しています。

 

おもに練馬区民と埼玉県民の都心への貴重な通勤の足となっている、東京ローカルの私鉄です。

プロ野球 西武ライオンズの親会社としてなら有名でしょうか。

 

この西武鉄道、実は2006年から、たいへんな経営危機を迎えていたんです。

そして、外資のファンド会社に資金支援を仰いだことから、一部不採算路線の廃線や、西武ライオンズの売却といった話まで持ち上がったことがあったんですね。

 

しかし、西武鉄道と沿線住民の協力によって、見事に全路線とライオンズを守ることに成功したのです。

その経緯について、書き留めておきます。

 

 

西武グループ経営危機の発端

 

すべては、西武グループ総帥だった堤義明氏が2004年に有価証券取引法違反で有罪判決を受けたことに端を発します。

 

これにより上場廃止となり、さらには多額の不動産融資の焦げ付きも発覚。

途端に資金繰りが苦しくなったのです。

 

そこで、メインバンクであった、みずほグループの管理下のもと創業一族と旧経営陣の一掃を図ることとなったのです

 

 すべてを1人で決定してきた絶対君主の堤義明氏が、経営の第一線から消えた。西武鉄道(株)の経営陣は総退陣。5月24日、メインバンクのメインバンク(株)みずほコーポレート銀行(後の(株)みずほ銀行)は副頭取の後藤高志氏を西武鉄道社長に送り込んだ。

 みずほは、堤義明氏が筆頭株主だった(株)コクドによるグループ支配が、不透明な企業体質を形成する元凶になったとして、堤義明氏の影響力を全面的に排除する方針を打ち出した。

www.data-max.co.jp

 

窮地を救った米投資ファンドサーベラス

 

厳しい資金繰りのなか、窮地を救うべく登場したのが米投資ファンド会社のサーベラス社。

資金調達に苦しむ西武ホールディングス(以下、西武HD)に1040億円を出資。

これで、ようやく西武HDは経営再建に乗り出せることとなったのです。

 

サーベラスが西武HDに出資するきっかけになったのは、西武グループの経営危機がきっかけです。西武グループ創業家出身でカリスマ的な存在であった堤義 明氏がオーナーとして君臨していました。堤氏は政治家とのパイプも太く、かつては自民党の総裁選の結果に影響を与えたともいわれる人物でしたが、2004 年に有価証券報告書の虚偽記載の責任を取ってグループ・トップを辞任、翌2005年には証券取引法違反で逮捕されてしまいました(執行猶予付きの有罪が確定)。西武グループ上場廃止となりましたが、同社には多額の不動産融資の焦げ付きがあり、同社のメインバンクであったみずほグループの管理下に置かれる ことになったのです。

 

thepage.jp

 西武HDとサーベラス社との対立

 

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そして、西武HDの経営再建は順調に進んでいったのですが、今度は株式の再上場価格を巡って、西武HDとサーベラス社が激しく対立してしまうようになったのです。

 

再上場における予定価格がサーベラス社にとって低すぎたことが原因。

とてもじゃないけど、出資に見合った価格ではなかったのです。

 

そうなると、サーベラス社は西武HDの株価を上げるために企業としての収益性を高めるための努力を要求しだします。

これが、不採算路線の廃止と西武ライオンズ球団の売却ということになります。

 

西武多摩川線西武山口線、西武国分寺線西武多摩湖線西武秩父線

 

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https://www.seiburailway.jp/railways/ad/routemap/

 

これを突っぱねた西武HD側に対して、サーベラス社はとうとうTOB(株式公開買い付け)を実施したのです。

 

株式公開買付け - Wikipedia

 

 全面戦争の始まりです。

 

西武HDの地道な活動

 

ところで、鉄道のような公共インフラを外資が簡単に買収出来ること自体が意外でした。

他の先進国も、こんなことが果たして可能なのでしょうか?

 

もし、サーベラス社が公開買い付けに成功して議決権を得てしまおうものなら、大変なことになっていました。

生活の足が、突然に奪われてしまうことになりかねなかったのです。

 

ここで西武HDが動き出します。

車内広告で、一般株主の方々に公開買い付けに応じないようにお願いする作戦に出たのです。

 

しかし果たして、株主の皆様が西武HDに協力してくれるものなのでしょうか?

だって、株式上場してない企業の株券なんて、ほとんど「紙切れ」同然なんですよ。

それを信じられない値で買い取ってくれるという、美味しい話なんですから。

 

株主の一致団結

 

でも、フタをあけてみたら、ほとんどの株主の方々が公開買い付けに応じなかったのです。

というのも、西武の株主の多くは沿線住民なんですね。

 

きっと、生活の足が奪われると困ってしまう方々がいること知っていたのでしょう。

だから、儲かる話だけど、頑に売却に応じなかったのですね。

 

 

いやあ、日本人の道徳感の高さを改めて感じましたね。

この国に生まれてきて本当に良かったと、心から思いました。

 

サーベラス社の撤退

 

TOBに失敗したサーベラス社は、西武HDから撤退。

そして無事、現在に至るのです。

 

しかし、公開買い付けが行なわれている間は、気が気で無かったですね。

 

  • もし本当にTOBが成功してしまったら、西武ライオンズが消滅してしまうのか?
  • 普段、利用している路線が外資の経営になってしまうのか?
  • 採算コストを重視して、不便なダイヤ改正が行なわれやしないか?

 

いろいろなことが頭をよぎりました。

 

そうはいっても、「乗って応援」でもないけど、西武鉄道を利用すること位しか応援出来なかったのですが…。

 

最後に

 

そのくらい、長らく利用している路線で愛着があったんですよね。

あの時の西武線ユーザーどうしの一体感は、忘れることが出来ません。

 

まだまだ日本という国も捨てたもんじゃありませんね。

 

でも、あの高揚感のおかげで…、

あやうくソフトバンクファンやめて、西武ライオンズファンになってしまうところでした(笑)。

 

 

2018.6.24