頑張りすぎで、生真面目な患者さんとのエピソード
もう10年も前の話になります。
当時、「O脚矯正コース」に通われていた30代のある男性サラリーマンとのエピソード。
何事にも熱心な方で、そもそも男性であって「O脚矯正コース」や「骨盤矯正コース」に通われる方というのは、とても真面目な性格の方が多いんですよね。
その方も例にもれず、毎回仕事が終わったあとにきちんと定期的に来院。
たいがい、その日最後の予約の患者さんでしたね。
「将来的に自分の膝が悪くならないように、今のうちに少しでもO脚を良くしたいんです」
土曜日曜は、二人のお子さんと奥様への家族サービスに充てるので、やはり平日深夜の来院となってしまうのです。
それと、体力には自信があったのでしょう。
大学の途中まで野球部に在籍されていたそうで、投手をやっていたんだとか。
高校時代に、あの松井秀喜さんにホームランを食らった話も記憶に新しい。
そんな彼との話のなかで、生真面目な性格を物語るエピソードがこれ。
「夫婦共働きである現状に、カミさんに本当に申し訳なく思っているんだ…」
「だから、せめてもの思いで週末の朝はオレが手作りのパンを焼いてあげているんだ…」
「先生、知っているかい?市販のクロワッサンにどれだけのバターが入っているか?」
ご自身のことだけでなく、家族の健康のことも常に考えている彼らしいエピソード。
しかし。
そんな、ある日のこと。
いつものように来院するや否や、
「先生、なんだかおかしいんだ。ここんところ眩暈(めまい)がひどくて…。何か悪い病気なんでしょうか?」
と、仰るのです。
何事にも手を抜かず、頑張りすぎな性格を熟知していたので、その原因がおそらく過労であることはすぐにピンときました。
すぐに過労による自律神経の乱れから来ている可能性があることを本人には告げました。
そして、今回だけ「O脚矯正コース」ではなく「カイロプラクティックコース」でいってみようとも提案。
快諾していただいた甲斐もあり、常連の患者さんに良いところを見せたい一心もあり、当時の自分の持てる力のすべてを提供したはずです。
見事、一発で寛解(症状が消失すること)。
その後は、もちろん状態によって「カイロプラクティックコース」とを交互に施術した記憶があります。
当時、まだまだ駆け出しだった自分にとって、「成功体験」というよりは、患者さんの性格的な部分と自律神経疾患との因果関係を実践で確認させていただいた良い経験としてのほうが大きかったかな。
施術家として経験値が上がった実感がありましたね。
その後、僕自身が異動の辞令により、お会いすることなくなってしまいましたが…。
果たして、お元気でやってらっしゃるのでしょうか?
今でも、ふと思い出すことがあるのです。