アマルガムはもう古い?銀歯の素材を調べていったら…【偶然見えてきた歯科医療における混乱ぶり②】
前回に引き続き、歯科医をされている女性患者さんから、またまた勉強させて頂きました。
今回教えて下さったことは、いわゆる銀歯について。
なんと、今どきの歯科治療用の詰め物って、もう「アマルガム」を使わないんですってね。
それどころか、その後に登場した「金銀パラジウム合金」も、もはや時代遅れになりつつあるのだと。
しかも、その歯科医さんが仰るには、なんと保険治療でセラミック素材が部分的に導入されつつあるのだという。
知らないうちに歯科治療の世界も変わりつつあるのですね。
ところで。
今回も、ブログ執筆にあたって、さまざまな文献を調べていたところ、またまた歯科業界の「ある論争」に辿り着いてしまうのでした…。
もはや使われなくなったアマルガム
銀歯と言えば「アマルガム」。
そう考えていた僕のアタマのなかは、もはや時代遅れだったようです(笑)。
とっくの昔に、歯科治療の世界では使われなくなっているんですってね。
ところで、アマルガムとは…。
水銀を多量に含む合金で、その使い勝手の良さから長い間にわたって、保険治療における詰め物(銀歯)の素材として使われてきました。
ただ、健康への影響も懸念されていたのも事実。
アマルガムは、50%の水銀を含む金属です。(あとは銀35%・スズ9%・銅6%・少量の亜鉛でできています。)水銀が体に及ぼす問題がニュースなどでも大きく取り上げられていますが、それと同じ水銀が、あなたの口の中にも入っているのです。特に口の中に入っている金属はいつも一定の高温の状態で、しかも唾液という水分に常に触れています。雨ざらしの鉄がさびやすいのと同じで、アマルガムも、お口の中で劣化し、腐食し続けるのです。
そして、同様に保険治療の素材である「金銀パラジウム合金」も、金属イオンの流出によるアレルギー反応が懸念されているそうなんです。
パラジウムは保健金属の主役ですが、リンパ球幼若化テストという金属アレルギー検査では、約半数の人に陽性反応が出ます。
ドイツでは、保健省が歯科業界に対して、「幼児及び妊婦に、銅を含有するパラジウム合金と、水銀・銀アマルガム合金を使用しない」という勧告を行ないました。
なお今では、コンポジットレジン修復法という、新しい保険治療が導入されつつあるようです。
アマルガムが保険適用から除外された理由
とまあ、ここまでは予想通りの展開だったのですが。
調べていくうちに、歯科学会と歯科業界とのあいだで、アマルガムはじめ保険適用となる素材への認識の差が浮き彫りとなったのです。
ちょっと、エビデンスとするには信頼性に欠けるかも知れませんが、一部週刊誌が面白い記事を書いていました。
しかし、日本歯科保存学会では、アマルガムは無機水銀なので、水俣病で問題になった有機水銀のような影響はないと説明する。
「大間違いだよ。論文にも書いているんだ。歯科業界には“分からない人”がいる。自分たちが治療で金属を使っているから、アレルギーのことが知られたくないんだろう」(中山医師)
出典:
かつて虫歯治療の8割占めた銀歯「アマルガム」のリスク│NEWSポストセブン
歯科学会も、かつて保険治療で扱っていた素材に対して、そうそう否定的な見解は述べられないですものね。
いっぽう、NHKのサイトで、歯科学会側のこんな見解を拾いました。
要は、建前、
「環境問題をふまえて、水銀という素材自体を使用しない方向に推し進めた」
ということみたいです。
昔治療した銀歯はとったほうがよい?
アマルガム修復物(銀歯)は、基本的には口の中で化学的に安定しており、これが体に何らかの影響を及ぼすことはありません。詰め物の周囲に新しく虫歯ができた、詰め物が外れた、詰め物の一部が欠けた、歯の色と違うなどの理由があって除去することはありますが、これらの理由なしで外すことは考えないほうがよいでしょう。アマルガムを削って外す際に水銀が蒸気化し、これを吸い込むリスクが生じることを考えるべきです。一方、アマルガムの廃絶に向けて取り組むというのが日本歯科医師会を含む国内の歯科医の基本的な姿勢です。しかし、アマルガムそのものが危険である、人体に有害であるということではありません。アマルガムという詰め物に水銀が使用されるため、水銀そのものを地球規模で廃絶しようという考え方に賛同し、また水銀によるさまざまなリスクを失くそうという考えから廃絶に取り組もうとしています。現実には、日本において、新しくアマルガムの詰め物をすることはほとんど行なわれてはいません。
本当に健康被害を考えてではなく、環境問題を考えての保険適用の除外だったのでしょうか?
歯科医院の現状を考えると
いろいろ調べていくうちに、今回も偶然にして歯科学会と歯科業界との混乱ぶりを知るところとなったのです。
以上の理由から一部歯科医院では、アマルガムや金銀パラジウムといった素材の銀歯を取り外すことを盛んに推奨しているようです。
いっぽう、歯科学会側は、アマルガムや金銀パラジウムの健康被害への懸念を否定する見解を変えていないのが現状。
しかし、欧米ではアマルガムはおろか、金銀パラジウム合金ですら認可されていないという事実がある以上、つい歯科学会側の見解については疑問を感じてしまいます。
医療だって例外ではありません。
これからの時代、我々、消費者側が充分にリサーチして、賢く自分で判断し、選択しなければならないのです。
特に歯科医院は、需要に対して供給過剰気味。
とうとうコンビニの数を超えたというニュースもあります。
いきおい限られた患者さんの取り合いとなろうもの。
患者さんの本当に求めるものをきちんと汲んでくれる歯科医院かどうかをご自分の目で判断するしかないのです。
保険治療が良いのか?
自費診療が良いのか?
もちろん、 場合によっては、どちらも正解となり得るのです。
2018.8.5