人間の想像をはるかに超えるアリたちの多様な生態【サムライアリは侍ではない!?】
人類が地球上にあらわれる、ずっと、ずっと以前から社会性を獲得して繁栄を築いてきた生き物。
それが、アリです。
集団生活をする生き物としては、人間なんかよりはるかにずっと先輩なのです。
今回、長い進化の過程で、実にユニークな生態を獲得した「アリ」を紹介させて下さい。
①自らが蜜を溜めるタンクと化すアリ(ミツツボアリ)
②他のアリをさらって、奴隷として働かせるアリ(サムライアリ)
③農耕民族として暮らすアリ(ハキリアリ)
これで、アナタもアリの虜になること請け合いです。
前置き(使用上の注意)
これから、このブログを読み進めようとしている、心優しき皆様へ。
今回は、純粋にアリを愛する気持ちが、かなり先行していることが予想されます。
ひょっとしたら結果的に、一般の方々にとって不適切となる画像をお見せすることとなるかも知れません。
あまり昆虫が得意でない方は、どうぞ自己責任でご覧になって下さい。
また、これを機会にアリ、ひいては昆虫に対する偏見が解消し、同じ地球上に暮らす小さな仲間たちに関心をお持ちになって頂けましたら、これ以上ない喜びです。
砂漠という厳しい環境に適応したミツツボアリ
まずトップバッターは、ミツツボアリ。
オーストラリアの砂漠地帯という、過酷な環境に暮らすアリです。
おもに花の蜜を主食にするアリで、エサの取れない時期を乗り切るために自らの体を蜜の貯蔵タンクに変化させてしまったという、とんでもないアリなのです。
花があまり咲かず、蜜を得る機会の少ない砂漠の中で生きているミツツボアリは、不毛の時期を乗り切る為、体に蜜をためて保存しておくという進化を遂げたようだ。食べ物が少ない季節になると、この蓄えた蜜を仲間に口うつしでもらって、生きのびるのだ。
巣の奥深く、天井からぶら下がっている、ミツツボアリたち。
自己犠牲も甚だしい、「滅私奉公」のある意味、究極形なのかも。
奴隷を使って働かせるサムライアリ
次に紹介するアリは、他のアリの子をさらって奴隷化し、死ぬまでこき使うという恐ろしいアリ。
サムライアリといって、実は、日本に普通に生息しているアリなんですね。
ところで。
子供を拉致して、奴隷化するなんて。
なんだか、どこかの宗教の過激化した原理主義グループと同じようなことしていると思いませんか?
でも、あちらのグループは女性蔑視が基本。
対して、働きアリたちは皆メスであるという事実が、いかにも皮肉です。
というより、そもそも「お侍さん」は人さらいなんてしません。
サッカーの「お侍さん」も然り。
最初に「サムライアリ」と名付けた学者さんの見識が問われるところです。
サムライアリがクロヤマアリの巣を襲って幼虫やサナギをさらう「奴隷狩り」が行われているのです。サムライアリがなぜこんなことをするのかというと、決して自分で餌を集めることはせず、同じ巣で働かせているクロヤマアリからもらって生活しているのです。
農業を営むハキリアリ
最後はハキリアリについて。
小さなハキリアリたちが一生懸命に葉っぱを運んでいる写真。
いったい、ちぎった葉っぱを巣に運んでどうするというのでしょうか?
熱帯アメリカを代表する昆虫のひとつ、ハキリアリは農業を営むアリだ。木々や草花から新鮮な葉や花を切り取って巣に持ち帰り、巣の中で細かくして、それに菌を植え付けて小さなキノコを栽培、収穫して食べる。
このアリが誕生してもう5000万年にもなるそうだから、人間の農業(1万年)に比べてずいぶん長い歴史がある。
なんと5000万年前から、専業農家をやってるアリなんですね。
まあ、それにしても器用に葉を切り取りとるものです。
正直、子どもの頃、すでにハキリアリの存在は知っていました。
しかし、自分が大人になって、集めた葉でキノコを栽培しているという事実を知ったときは、もう衝撃でしたね。
皆さん、農耕民族としての大先輩のご尊顔をとくと鑑賞あれ(笑)。
最後に
働かない種類のアリがいる一方で、せっせと農業に勤しむアリもいるという。
後者のアリは、どこか伝統的な日本民族を思わせるところがありますね。
しかし、前者のアリが日本在来のアリという皮肉。
長い年月を経て、いろいろな事情に沿って進化を果たしてきたアリの仲間。
今回、とくに特徴的な生態をもつアリたち3種をピックアップしてみました。
こんなにも奇想天外な形で進化を遂げた理由は、社会性昆虫であるが故なのでしょうか?
アリという世界について、興味が尽きることがありません。
2018.7.10
アリについてもっと知りたいという方へ。