ogikubojinの日記

産前産後のケアでいらっしゃっている患者さんたちとのとりとめもない話

人工合成のビタミンCが体に悪いって本当?【ビタミンCにまつわる都市伝説を検証】

 

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人工合成のビタミンCを摂るとガンになる…

もしくは、

天然由来のビタミンCでないと、飲んでも効果が無い…

 

こんな話をどこかでお聞きしたことはありませんか?

 

 

そうでなくとも、なんとなく「人工合成のビタミンCは、天然由来のモノには効能で及ばないのかな」と、考えてしまう方は多くいらっしゃるのではないでしょうか?

 

ちょっと調べてみました。

 

 

 そもそもビタミンCとは

 

ビタミンCとは、一般にL-アスコルビン酸という物質のことを指します。

もちろん天然由来のビタミンCも、人工合成によるビタミンCも化学式はまったく一緒。

 

その効能はというと、ビタミンCのもつ強い還元力をもって、体内で発生した活性酸素をはじめとする酸化物質を還元(消去)すること。

その他、鉄分の吸収効率を上げる働きなどもあります。

 

つまり、身体にサビが発生しないように、酸化物質から守ってくれているんですね。

 

 人工合成におけるビタミンC

 

そもそもが人工合成されたビタミンCについて、自分は誤解をしていました。

人工的に合成されたビタミンCは、L-アスコルビン酸ではなく他の立体異性体であるものかと勝手に思い込んでいたのです。

 

でも、天然由来も人工合成も、おなじL-アスコルビン酸であることは、もちろん同じなのですね。

立体異性体ではありません。

 

立体異性体とは

L-アスコルビン酸を化学式で表すとC6H8O6となります。

構造式はこちら

 

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 出典:ビタミンC - Wikipedia

 

 

しかし、C6H8O6という同じ化学式で、もうひとつ構造式を組むことが出来ます。

これをエリソルビン酸といいます。

 

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出典:エリソルビン酸 - Wikipedia

 

化学式が同じでも、構造式が違うと化学的性質はまるで変わってきます。

このように化学式が同じでも、構造式の違う物質のことを立体異性体といいます。

 

ちなみにエリソルビン酸には、ビタミンC(L-アスコルビン酸)ほどの抗酸化作用はありません。

 

人工合成されたビタミンCには酵素がない?

 

それと、もうひとつ。

よく聞くのが、天然由来のものと比べて、人工合成されたビタミンCには酵素が含まれていないから有効ではないという都市伝説。

 

これも全くのウソです。

この場で説明すると複雑すぎる話になるので割愛しますが、ビタミンCと一般的な酵素との分子量を比較すれば、「ビタミンCに酵素が含まれる」という話自体に無理があるのが分かります。

 

人工合成のビタミンCの原料

 

ビタミンCの主な原料って、実はトウモロコシやジャガイモなどいった作物から抽出したデンプンなんですね。

 

ただ、化学合成するにあたって、安価で大量に安定的に供給する必要から、多くの場合、

遺伝子組み換え作物が原料に使われるそうなのです。

ここが、どうやら悪い噂の出所のような気がしますね。

 

現在の人工合成ビタミンCの主な供給もと

 

 

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現在、人工合成のビタミンCを製造するにあたって、原料となるデンプンの最大の供給国はアメリカ合衆国なんだそうです。

 

そう。

アメリカ合衆国といえば、世界有数の遺伝子組み換え作物の生産地。

こんな所で、知らないうちに遺伝子組み換え作物が使われていたんですね。

 

そして、原料をビタミンCに加工する、最大の生産国が実は、中国。

 

ただ、一般的に中国製品には不純物が含まれることが多くあり、そういった心配が尽きないのも、また事実。

余計な副成物が、思わぬ健康被害をもたらすことも充分に考えられるのです。

 

しかし、個人的には、遺伝子組み換え作物由来であっても、製品としてのビタミンCにはなんら影響はないと考えます。

だって出所がどうであれ、C6H8O6であることには変わりはないでしょう?

 

添加物としてのビタミンC

 

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食品添加物として使われるビタミンCの存在はご存知でしょうか?

 

抗酸化剤や酸化防止剤として、食品に添加されているビタミンCのことです。

ビタミンCの非常に酸化されやすい性質を利用して、食品を酸化から守るのです。

 

緑茶に含まれているビタミンCなんかが有名でしょうか。

よ〜くラベルの裏を見てみると、原材料名のところに記載されていますよ。

 

ただ、いちど酸化されてしまったビタミンCを体内に取り込むと、今度は人間の身体が酸化されてしまうことがあるのだとか。

 

つまり、食品添加物としてのビタミンCを取り込んでも、ビタミン補給になるどころか、身体に害となってしまうことがあるから要注意なのです。

 

おそらく、この辺りの話が、「人工合成のビタミンC」と「発ガン」とを結びつけてしまった原因なのでは?

 

最後に

 

ビタミンCという物質について、ひとつずつ、そのアウトラインを紐解いていくと、なかなか興味深い事実が浮上してきます。

 

そうすると、あら不思議。

人工合成のビタミンCにまつわる、さまざまな都市伝説をひとつずつ検証することが出来てしまうのでした。

 

もういちど要点をまとめると…。

 

  • 天然でも人工でも、酵素を含むことはない
  • 天然でも人工でも、同じL-アスコルビン酸であることに違いはない
  • ただ、原料供給国および生産国の関係で発ガンが疑われるようになったのでは
  • むしろ恐いのは、食品添加物としてのビタミンC

こんなところでしょうか。

 

人工合成でも天然由来でも、なんら効能には差がないと考えます。

ただ、製造国次第では、不純物の心配があるので注意が必要となります。

 

僕個人としては、ビタミンC補給についてはサプリメントで、ぜんぜん問題ないと思うのですが、安い製品については品質について注意するべきかと。

 

それと、酸化防止剤として添加されているビタミンCには充分にお気をつけ下さい。

こちらは摂り過ぎると、ビタミン補給どころか発ガンの恐れが出てきてしまうかも。

 

皆さんの健康のお役に立てれば幸いです。

 

 2018.6.10