クロオオアリにすっかり魅了されてしまった少年【こんなにもアリという生き物を愛する理由③】
敵討ちという当初の目的を果たしたものの、未だ現場に留まろうとする僕。
いったい何故なのでしょう?
それは、なんとアリという生き物自体に興味を持ってしまったから。
アリの巣を掘り返したことで、偶然、クロオオアリの持つ社会性について知ることになってしまったのです。
それからはもう、アリという生き物に夢中となったのです。
前回ブログからの続きとなります。
その①
その②
ここでアリの巣の掘り返し作業を一から振り返ってみようと思います。
働きアリの役割分担
兵隊アリの登場
まず最初に巣を掘り返すにあたって目にしたのが屈強な「兵隊アリ」。
巣の入口付近で、その大きな頭でこちらを威嚇するかのように警戒。
※写真はイメージです
掘り返し始めた時、真っ先に侵入者である僕に噛み付いてきたのが兵隊アリでした。
あ、兵隊アリに噛まれると、血が出るくらいですから。本気で痛いですよ。
働きアリの登場
出先から帰ってきた中型の「働きアリ」も異変を察知してか、僕に猛烈なアタックをかけてきます。
知らないうちに僕の背中伝いに登ってきた働きアリに、手痛い一撃を喰らってしまうなんてことも。
とにかくクロオオアリは大きいので、噛まれると痛いのです。
お世話アリの登場
そして、巣の最深部近くになると、今度は、小柄な「お世話アリ」たちが非常戦闘態勢に入ります。
本来、そういう役割ではないはずなんですけどね。
(※なんといっても緊急事態ですからw)
でも、小さいから噛まれても、そんなに痛くない
…と、言いたいところなのですが。
アリの放つ「ギ酸」という酸っぱい臭いのする毒が強烈なのです。
毒といっても人体にはほとんど影響はありません。
(※獲物となる昆虫を弱らせる程度の毒)
しかし、臭いのです。これが。
お世話アリ、身体は小さくとも、ギ酸は同じように放ちますから。
「アリの巣」という名の巨大地下帝国
働きアリたちの逆襲をものともせず、スコップでひたすら掘り進めていくと、地中にいくつもの部屋があることに気付きます。
アリの蛹(さなぎ)や、幼虫が並べられている部屋や、木の実や虫の死骸が貯めこまれている食糧庫とおぼしき部屋なども。
さらには成虫になって間もないと思われる、体色がまだ白い、未熟な働きアリたちも巣の奥から出てきたり。
ひたすら成熟するのを待つための部屋なんてのもあるのでしょうか?
そんな、用途ごとに分けられた部屋が、地中数メートルにわたって展開していたのです。
アリという高度な社会性をもちあわせた昆虫
子供ながらに、そこには人間社会と同じような巨大コミュニティが存在して、高度な社会性を持つほどに進化した昆虫が暮らしているということを理解したのです。
その集団のトップに君臨するのが、もちろん女王アリ。
そして、たった一匹の女王アリを守ろうと、組織的に抵抗を試みる兵隊アリ以下、働きアリたち。
皆、自分の命など顧みずに戦いを挑んでくるのです。
子供心にも、なんだかぞくっとした記憶がありますね。
復讐心の先に待っていたもの
結局、今こうして記憶を整理することによって、当時の自分の心理を客観的に見つめ直してみて気付いたこと。
それは復讐心オンリーの状態から、きっとアリのことを興味関心の対象物として見つめるべき存在に変わっていったという心理的変化です。
何と言いましょうか?
きっと、アリへの愛情が芽生えてしまったのでしょうね。
まあ、それでも女王アリは、あっさり潰してしまっちゃったんですけどね。
それでカブトムシの件に区切りを付けたかったんでしょう。
子供って残酷ですから(笑)。
そして、事を成し得た僕は、自宅に帰って、さっそく昆虫図鑑とにらめっこ。
アリという新しい「恋人」について探求する日々が始まるのでした。
その後、女王アリを探しては捕まえるという行動に明け暮れる日々が待っているのでした…。
その④へと続く…。
2018.6.3