バス運転士の一喝で、一瞬にして車内が凍り付いてしまった話【元ヤン運転士の実直な正義感】
※写真と本文とは直接関係ありません
今回も路線バスについての話。
あれ、何だかバスの話ばっかりだなぁ〜(笑)。
まあ、許して下さい。
きっと、バスの車内って、ある意味、人間社会の縮図だったりするんでしょう。
観察していると非常に興味深い出来事の連続。
ホント、飽きませんね。
今回は、以前よく見かけた、元ヤンキーっぽい運転士について。
その運転士さん、見た感じはまだ20代前半とおぼしき、とても若い青年でした。
しかしながら、品行方正で言葉遣いも、とても丁寧。
おまけに運転も非常に丁寧という、非の打ち所のない好青年。
他のベテラン運転士の横柄な態度や、乱暴な運転とは、まったく好対照でしたね。
ひどい運転士だと、ただの1回のアナウンスもなく、終点までサイレントモードな方もいますからね。
正直、若い彼が運転するバスに乗ると、「今日はラッキー!」とよく思ったものです。
本当に乗り心地が良かったですもん。
しかし、そんな好青年でも、ひとつだけ気になってたことが…。
それは非常に非常に細〜い眉毛をキメてらっしゃったんですよね。
直感ですぐに、元ヤンなんだなと感じました。
でも、元不良だった方に限って、社会に出ると逆に真面目だったりしません?
まあ、その運転士さんも例に漏れず、その勤務ぶりは賞賛に値するレベル。
おばあちゃんがきちんと着席するまで、絶対に発車させずに待っていましたもの。
しかし。
そんなある日、事が起きたのです。
夜、いつものように仕事帰りに彼の運転するバスに乗っていたんです。
そうしたら、ある中年サラリーマン男性がそこそこ混んでいる車内で、ずうっと携帯で通話しちゃってたんですね。
途中で、その事に気付いた若い運転士。
もちろん、気付かないふりを決め込む他の運転士とは違い、やめさせるよう何度もアナウンスをします。
「他のお客様の迷惑になりますので、車内での通話はご遠慮ください」
×3くらい(紳士的に)
しかし、中年サラリーマン男性、度重なるアナウンスにもかかわらず、まったく気付いてない様子。
かといって、見た感じ悪意があって通話を続けている感じでもないようでした。
おそらくは、普段あまり路線バスに乗らない方なんでしょう、ただ素で状況が解ってない様子。
やがて、いつものように睡魔に襲われだした自分。
…ウトウトしかけた、その時でした。
バスがいきなり急ブレーキを踏んで止まったのです!!
そして…。
「オメーのことだよ。そこのアンタ!」
「車内で通話するなって、言ってんだろボケ!」
一瞬で車内は凍り付きました。
そして、ワタクシも覚醒。
車内にいた乗客すべての視線の先が、いきおい通話中のその男性に…。
やっと、事態に気付いた中年男性は、目を白黒させて動揺。
やはり、悪い人間ではなかったようです。
ただ、公共のルールを素で知らなかっただけの模様。
しかし、あんな形で運転士に恫喝されてしまったら、もうそこは針のむしろ。
可哀相に中年男性、次のバス停で逃げるように下車してしまいました。
きっと、次のバスに乗り換えたことでしょう。
まあ自業自得。良い社会勉強になったことかと。
ちょっと中年サラリーマンも気の毒とは思いましたけど、一連の青年運転士の行動には賞賛を送りたいですね。
やりかたは、ちょっとエグかったけど(笑)。
一歩間違えば、ややこしいことに成りかねない行為。
もちろん、規則を守らせたところで、金にもなりません。
きっと正義感からなんでしょうね。
でも、ルールはルール。
みんな心のなかでは、通話に対して憤っていたはず。
でも、なかなか実行に移す勇気ある運転士って、そういないですから。
急ブレーキには、ちょっと驚いたけど、なんだか胸のすく思いでした。
2018.4.21