身体を壊してしまった、あるエステティシャンについての話
7~8年前くらいでしょうか。
まだ中野の治療院で働いていたときの話。
ある平日の昼間に若い女性の方から予約が入りました。
とにかく頭痛が酷くて、日常生活にも障ってしまっている状況なのだとか。
実際いらっしゃって、話を聞くと、歳はまだ二十歳。
沖縄からはるばる上京して、某大手エスティックサロンに就職。
一か月間の研修を経て、現場に出て1年くらいになるのだそう。
しかし、勤続疲労が溜まり、日に日に頭痛が悪化して、とうとう仕事が出来る状態ではなくなってしまったのだとか。
聞くと、まわりのスタッフも皆、満身創痍で、それぞれ何かしらの不具合を抱えながらも仕事に従事しているのだそう。
それでも、やはり激務に耐えられなくなった人から順番に辞めていくらしいのです。
これって人材の使い捨て?
エステ業界のすべてがこれに当てはまる訳ではないのでしょうけど、ちょっと労務管理が酷すぎるのではと。
だいたい、たった一か月の研修で、上手な身体の使い方が本当に身につくものなのでしょうか?
自分らの業界にも同じことが言えるのですが、うまく体重移動を使えずに、腕力にたよって施術をしてしまうと、すぐに体は悲鳴をあげるものなのです。
ましてや日に何人も女性の体力でこなすには、それなりの身のこなしの訓練が必要。
その患者さん、一か月間の休暇をとって、その間に完全に頭痛を治してしまいたかったそうなのです。
集中的に通っていただいて、なんとか頭痛はとれたのですが。
おそらくは、職場復帰したら、また同じことの繰り返しだったでしょうね。
…ふと、当時のことを思い出すことがあります。
二十歳だったら、人生には、まだまだいろんな選択肢があるはず。
もっと、会社のために働く社員のことを本当に思ってくれるところに転職出来ていたら良いのですが。
どうか東京で輝かしい日々を送ってくれていたらと、切に願うのです。
2018.3.30